文章を書く場合、文章作法についての専門的な知識というのは、ほとんど必要がない。
だから、先輩の文章を読んだり、それぞれの雑誌特有のもの言いや言い回しといったものを修得すれば、それなりの文章は書けるようになってくる。
要するに、実務体験を重ねていけば、見よう見まねで、まずはそれなりのカンドー的な文章は書けるようになる。
ところがコピーの場合は、単にきれいな表現、上手な言い回しを身につければいいというものではない。
広告の場合の基本的な要素、たとえば競合商品は何か、媒体は新聞か雑誌か、目的は知名度アップか企業のイメージアップかといった広告表現の基礎的な戦術と戦略を身につけておく必要がある。
遠藤泰男(ライター)
普通の文章とは方法論が違うコピー作法というものがあって、これを修得する必要があるのだ。
そこで、Hさんは『コピーライター養成講座』に通って勉強した。
実際、この業界で活躍しているコピーライターの多くは、こうした専門学校での学習(訓練)を積んでいるケースが少なくない。
さて、Hさんの話にもどるが、M社では大手スーパーや家電メーカー、カード会社などを担当した。
M社に3年いて、その後個人事務所に転身。
ここではデパート、銀行、カード会社がクライアントだったが、アルバイト公認だったのでこれまでの人脈を通して頼まれる仕事もこなしていった。
そのうち、アルバイトの仕事がだんだん増えていき、個人事務所との仕事の両立が難しくなってきた。
彼女は仕事の合間を縫って『TCC広告年鑑作品』に応募していたが、92年に新人賞を獲得した。
そして、この受賞を契機にフリーになる決断をし、1年ほど準備した上でフリーのコピーライターとして事務所を構えることになった。
現在、彼女の仕事は8割が電通、博報堂、東急工ージェンシーといった大手広告代理店などを通しての仕事で、クライアントはビールメーカー、化粧品メーカー、製薬メーカーといったところ。
ビールメーカーでは、「フードドリンク」の発売から制作に関わり、商品のコンセプトコピーを手がけたから、「フードドリンク」の媒体広告、ポスター、CFなどのコピーは必然的にHさんのところに回ってくる。