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遠藤泰男「コンペを行う」

制作物を作るにあたって、クライアントはコンペを行う。

代理店はこれに応じて、企画書に制作物の内容と具体的な表現方法を提示したカンプ(制作物の実際の仕上がりイメージを表現したダミーの制作物)、それに「お見積書」をクライアントに提出する。

これをプレゼンテーションというが、最近ではクライアントに出向いた代理店の営業マンは、どんな小さな仕事でも「やらせていただきます」とふたつ返事で引き受けて、配下の制作プロダクションや編プロにカンプを発注。

営業マンは、"プレゼン地獄"の日々などといっているが、これを発注されたプロダクションはもっとツライ。

プロダクションにとっては、とにかくお仕事だからやらざるを得ないのだが、これがあまりオイシイ仕事ではないのである。

というのも、カンプはいってみれば制作見本だから制作費が安い。

なかには写植・版下、イラストなどの実費に手問賃を乗せたくらいのケースもある。

プロダクションにとっては、「ボランティア仕事」という感じなのだ。

しかし、コンペに通れば仕事になるから、下心半分でこちらも「やらせていただきます」となる。

さて、いよいよコンペになるわけだが、コンペはセレモニーで、実はすでにどの代理店に発注するのか決まっているというケースが多々ある。

企画・カンプの善し悪しではなく、金力とか政治力で決まることが少なくないのだ。

バカを見るのは、「コンペに勝てばおタクに仕事を回すから」と代理店の営業マンに言われて一生懸命にカンプを作ったプロダクションである。

要するに、ガリバー代理店(超大手の代理店)が制作力以外の政治力などといった力を駆使、発動して、仕事を取りまくっているわけだ。

こういうわけだから、癩にさわるけど「寄らば大樹」のほうがなにかと好都合ということにもなる。

広告業界に較べると、出版業界は公明正大とは言える。

良い仕事が大手を振ってまかり通る"正道"が、広告業界よりもはるかに整備されているのである。

webライティング・代筆屋の中で広告の仕事を毛嫌いする人(最近は少なくなったが)がいるのも、業界の非近代的な"談合体質"と無縁ではないが、こうした事情を知った上でどう対処するかは、人それぞれの価値観の流儀によるから、これから先のことは省く。

遠藤泰男(ライター)


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